匂い [島暮らし]
父方の田舎は
岩手、三陸海岸にあります。
そこには
大島
と呼ばれる無人島があって
大勢の従兄弟たちと
海水浴へ
泊まっている間は
毎日行っていました。
エメラルドグリーンの海は
本当に綺麗で
水深が10メートルはあろうか、
という場所でも
海底が見えました。
水は冷たくて
歯をガチガチいわせて
くちびるを紫にして。
それでも
元気いっぱい泳ぎました。
船が着く桟橋から
猛ダッシュして、
ダイブ!
したりしました。
遠い、遠い
夏の日です。
潮の匂いで
ふと
あの夏の日々を思い出す瞬間があります。
大島までの船に乗るため
祖母の家から
従兄弟たちと港まで歩いた時の潮の匂い。
匂いの記憶は
時間を飛び越え
ダイレクトに感受性に響きます。
それは
雨の日の匂いだったり
古い倉庫の匂いだったり
シーブリーズの匂いだったり。
記憶蘇る時
何かやさしいものが
僕を包み込むのです。