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適応!

高知旅行 (205).JPG


柑橘農家をやっておりまして、
何が一番シンドイかと尋ねられたとすると、
僕の場合、
真夏の斜面地での草刈りと答えます。
みずたま農園では例年、
大体5月、6月、7月、8月、9月、と
草刈りをします。
特に大変なのは8月の草刈りでして、
これはもう、
思い出すのも嫌でございます(笑)
連続して作業は大体2時間くらいが限度でしょうか。
汗は大げさでなく、滝のように流れ
全身ビショビショになります。
だけでなく、
無数の虫たちに寄ってこられ
悲惨なことになります。
毛虫にカブれ、
蜂に刺され、
蚊に刺され、
アブに刺され、
全身虫刺されだらけになります。
「虫たちと、草たちと共生する農業」
などと言う意見もありますが、
正直、
正気の沙汰とは思えません(笑)
僕にとりまして、農業とは
草と、虫との闘い
そのものでもあります。

この草刈りを
少しでもサボりますと、
とんでもないことになります。
伊予弁ですと、
「わや」になります。
そしてやはり、
傾斜のキツイ園地ほど
草刈りがどうしても後回しになりがちで、
そのツケは結局自分に戻ってくるわけです。
草刈りに関しては
様々な考え方があり、
伸ばし放題の方もいますし、
除草剤で徹底的に枯らす方もいます。
また、
草刈り機で刈るにしても
その回数は人によって様々です。
僕の場合、
やはりマメに刈った方が
自分がラクという結論に達し、
草が伸びる前に刈る、
というスタイルで日々作業しています。
ですが、
敵もさるもの、こちらの隙を見ては
ドンドンと成長し、
正に追いかけっこといった様相。
園地は順調に拡大し、
もうそろそろ二町に届こうかという
みずたま農園。
その作業範囲もまた拡大し、
真夏の作業を思う度に
今から身震いしたりしています(笑)


去年の9月。
つい草を伸ばしてしまった急斜面の園地の草刈りをしました。
この園地、
僕にとっては鬼門の場所でして、
急斜面にプラスして、
段々も無くて足場が非常に悪く
そして樹が込み入っているという
何かの修行かな、というくらい
作業がキツイ場所なのです。
就農当初、
この園地の草刈りは本当にきつかった。
ボウボウに伸びた草を見上げながら
途方に暮れ、
泣きそうになったことを思い出します(笑)
もう本当に
膝がガクガクとしてきまして、
踏ん張ることだけで、精一杯な感じでした。
それが、
今回はスイスイと
平坦地を刈る時とさほど変わらずに
草刈りをすることができました。
一人、山の中での作業でしたが
これは嬉しかった。
移住して三年、
全身の体力が
新しい環境に適応した瞬間を感じました。
若い時ならば、
そんな事は当然であり、
気にもしない事柄であったと思いますが、
体力が下り坂に差し掛かってのこの適応には
未だかつて感じたことのない喜びを感じました。
同時に
この「勝利」とも言える体験は
体力だけでなく、
様々な要因に支えられてとの事だとも思っています。
まずはこの約半年前、
妻と二人でかなり樹を大々的に剪定し、
作業領域を広げていました。
今までのように背を屈めたりせずに
園地を行き来できるように予めしておいた訳です。
そして道具にもこだわりました。
足元は林業の方々が使用するスパイク付の足袋を装着し、
草刈り機は自分の身長に合わせ
約20センチ長い竿のものを新規に購入していました。
環境の整備、道具、そして日々の体のメンテナンス、鍛錬
これらが融合しての
新しい環境への適応。
それは、全て
独力で発案、企画、実行、継続してきただけに
深い満足がありました。

農業は孤独な作業でもありますが、
孤独であるが故に
探求できるものもまた多々あり、
なかなかに面白いものでもあるなぁ
と思います。





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