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必要なもの [島暮らし]

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田舎暮らし、島暮らしで必要なもの
それはズバリ、
握力
だと思ってしまう今日この頃。
思えば東京で暮らしているときは
「にぎる」という行為は実に少なかったと思います。
実際の握力よりも人心などを掌握するほうの「にぎる」
事の方が重要だった気もします。
そしてそのことにどこか馬鹿らしさを感じていたからこそ
僕は遥々、この地で農業を営んでいるとも思うのです。
ここ中島。
僕の価値観では
そんなまどろっこしい能力は必要なく
繰り返しますが、
まずは握力!
足腰ももちろん大事なのですが
結局のところ、ただ歩き回るだけでは仕事になるはずも無く、
丈夫な足腰を基本としつつも
「仕事」の最前線で実際に動いているのは手の指なわけです。
チェーンソーを操るにしても、剪定バサミで枝を切るときも
キャリーに満載したミカンを運ぶときも
一番先で対象物に対して処理をしているのは紛れもなく指なわけです。
そしてこの指先の力が充分になかったなら
いくら優れた上腕二頭筋や三角筋、腹筋や後背筋を持っていても
その能力を充分に発揮できないと感じます。
仕事が終わった夕暮れ
急な傾斜面の畑での作業以外は
一番酷使したのは握力とつくづく感じます。

農家になって良かった
と思う時。
それは東京にいた時に感じていた
空虚な
灰色な
嘘だらけな
そんな
駆け引きなど必要なく
ただ
握力勝負だ!
と感じる時だったりします。
結局ところ農業とは
美味しく、安全な作物を適正な値段設定で販売すれば
結果は後から必ずついてくる
と素直に
しかし
未だかつて感じたことの無いほど
強く思います。
粗野でも、時代遅れでも、馬鹿でもいい。
うん、どうでもいい。
肝心なのは
直進していくブルドーザーのような馬力かなと。
自分の奥深い所からにじみ出てくる素直な気持ちが
リスクから感じる恐怖をジワリっと凌駕していく瞬間、
震えるほどの感動があり
たぶんずっと
こんな風に生きてみたかった
そう思ったりします。
そして
このちっぽけな存在である僕らの感動は
僕ら自身びっくりするほどの
沢山の方からのエコーがあり
静かな祝福を噛みしめつつも
鋸や鍬を握り締める力を頂いている気がします。

自分が不可能だと思っていたことを
自らの力で可能にしていく時
僕の中で何かが「カチリ」とスイッチを入れるのです。










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