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見回り [島暮らし]

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昨日はイノシシ当番

師匠と朝6:30分に待ち合わせ
無線機片手に島を一周。
島中に50~60箇所ほど仕掛けている罠に
イノシシが掛かっていないかを調べるために
罠一つ一つに割り振られた周波数にダイヤルを合わせながら
ポイントを回ります。
小一時間ほどで島を一周。
異常なしの報告したあとすぐに師匠の携帯が鳴ります。
イヤな予感。
そしてその内容は
予感どおり檻罠にイノシシがかかったとのこと。
師匠と二人、急遽小浜へ向います。
到着するとそこには推定70キロ弱くらいのメスのイノシシが
檻の中で暴れていました。
先日の当番の時はすでに猟銃で撃ち殺された後の
状態での運搬だったのですが、
今回はまだ生きている状態からの作業。
同じ集落の猟銃担当のUさんも銃を持って現場へ到着。
ここまで大型の哺乳類の死の瞬間に立ち会うのは
生まれて初めてのこと。
しかし、前回通り 心中全くと言って良いほど
なんの変化もなく至って冷静でありました。
やはりこういった作業は倫理や道徳などといった
人間的な感受性のスイッチを一旦完全にOFFにし
自分の中の「動物」の部分のみで
行うものなのかなとも思います。
狙いをつけて放たれた弾丸が、イノシシの脳に命中。
小さく断末魔の悲鳴があがり、痙攣が始まりました。
そして速やかに心臓にナイフを突き刺し血抜き。
トクトクと血が流れた後はピクピクと動いていた
イノシシの身体が序々に動かなくなっていきました。
その時間わずか5分ほど。
あっと言う間に、あっけないほど簡単に命は無くなってしまいます。

周知の通り、人間は雑食です。
遥か昔、まだ農耕などの技術が確立されるもっと前、
人間だか猿だかはっきりしない時期など、
時には木の実を食べ
魚を食べ、そして肉を食らって
生き延びるためにあらゆるものを「食らって」
その遺伝子を現代まで繋いできたのだと感じます。
氷の中に落ちた犬を捨て身で助けて大喜びするのも人間なら
また巨大な工場ともいうべき屠殺施設で日々大量の
牛や豚や鶏を殺すのもまた同じ人間だと気がつくとき、
他ならぬこの僕も単なる傍観者ではなく
その極ともいえる場面に立たされていると感じました。
ライオンなどの肉食獣はその獲物を食べるとき
獲物に対し、感謝も哀れみも感じないと思います。
そんなことを感じたならば自らの牙で
生きたままの肉体を噛み砕き飲み込むなどということは不可能だと思われます。
彼らは正しく本能のままに
草食獣が草を食べるのと同じく
生きるために肉を食べているに過ぎません。
ある意味完全な「肉食」モードに入った僕は
微かにも波打たない全くの平常心で
時に軽口などを叩きながら、談笑しながら
その亡骸を檻の中から引き摺り出し
そのままトラックの荷台へ放り投げたのでした。
このことは僕にとって新鮮な驚きで
自分の中の人間性など、ある角度から見ると
いかに脆いものであるのかが浮き彫りになった気がします。

結局、この日はこの後、2頭のイノシシが罠に掛かり
計3頭のイノシシを運搬、所定の場所へ埋葬しました。
運搬に使った軍手は血まみれになり、
そのままゴミ箱へ捨てました。
ちょっと暗い話ではありますが
事実であり、日常であります。
そしてやはり、イノシシの被害は甚大でして
農業が主要産業であるここ中島ではこの問題を放置できません。

先日、先輩農家さんと話しているときに
イノシシが増えてから蛇が減った、とのお聞きしました。
その昔は畑で蛇を見ないことのほうが少なく
「こうして話していても、すぐそこでチョロチョロしていたよ」
とおっしゃっていました。
爬虫類が苦手な僕としては
そこだけは嬉しい限り(笑)



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