経緯 その八 農音 [プロローグ]
時は前後して2013年1月。
通勤途中、ラッシュのJR立川駅で僕は電車を待っていた。
疲れていた。
仕事場には何一つ僕の能力を発揮できる環境はなく
生活のために
ただただ大学と自宅を往復する毎日。
安定はしていた。
休みも多かった。
会社に不満はなかった。
だが発展性のない毎日の職務は
少しづつ、少しづつ僕を蝕み
行き場の無いやるせなさを無限に増幅させた。
ある種、
無意識に
「移住、家族、離島」
などという言葉をグーグルに打ち込んでいた。
うつろな目でiphoneを見ているとそこに
「農業と音楽で地域を結ぶNPO」
のコピー。
ああ、こんな島があってこんな人たちが
こんな活動をしているのか。
風景も心の中も灰色に染まり
半ば夢を見るような感じで僕は思った。
ああ、こんな生き方もあるのか。
これが今回、愛媛中島への移住のきっかけとなった
農音と僕との出遭いだった。
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